AIを現場にデプロイする——FDXのFDEという仕事

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FDX株式会社 根耒 京平様

AIで「何かを作れる人」はこの数年で急増しました。それでも多くの企業でAX(AI Transformation)が止まっているのは、作る力と、現場で使われ続ける状態まで持っていく力が別物だからです。

その「一番難しくて一番面白い部分」を担うのが、Forward Deployed Engineer(FDE)という職種。営業段階のヒアリングから実装、納品後の定着支援までを一人で貫き、顧客の中にAIと実装力を残していく仕事です。

今回お話を伺ったのは、FDX株式会社で開発事業を統括しながら、自らもFDEとして現場に入り続ける根耒 京平(ねごろ きょうへい)さん。デザイナーとしてキャリアを始め、PM、開発部門責任者を経てFDEに至った経歴を持ちます。

FDEという仕事の実像、活躍する人の共通点、そしてFDXが候補者に求めることを伺いました。

FDX株式会社 開発事業統括 / Forward Deployed Engineer
根耒 京平様

FDXでは開発事業の統括を担いながら、FDEとして営業段階のヒアリングから実装、納品後のサポートまでを担当しています。ノーコードやVR、Web3など、新しい技術が出るたびに触ってきた「新しいもの好き」で、いまはAIを軸にした業務の自動化に没頭しています。AIは言葉で説明してもイメージしづらいので、まず最短で体験できる形にしてお持ちし、そこからチューニングを重ねる進め方をとっています。大学卒業後の起業以来、未知の領域に挑み続けてきたので、難易度の高いご要望ほど面白いと感じるタイプです。

──(コンサルGO総研編集部)まずは、これまでのご経歴と現在のお仕事についてご教示ください。

根耒氏:大学卒業後、友人と2名でホームページ制作会社を立ち上げて、デザインは独学で担当していました。

2014年にアローサル・テクノロジー、現在のFDXに参画してからは、ソーシャルゲームや飲食系サービスの事業会社の現場に入り、クリエイティブ制作からUI/UX、計測・分析までを経験しました。2017年に本体へ戻ってからは新規立ち上げ案件が中心になり、UI/UXデザインとディレクションから、要求整理・企画・PMへと担当を広げ、システム開発部署の責任者も務めました。

ノーコードやWeb3、VRといった新しい領域にも継続して取り組んできて、生成AIの登場以降はAI案件の上流設計とPMを担当。現在はFDEとして、実装を含めた一貫支援にあたっています。

──現在のFDEとしての役割について、もう少し詳しく教えてください。

根耒氏:営業段階のご相談から要件定義、実装、納品後の定着支援までを一貫して担当しています。

ただ、私が責任を持っているのはAIを導入することではありません。お客様の業務が実際に変わり、その状態をお客様自身で維持・改善できるようになること、そこまでです。

そのためにまず現場に入って業務を棚卸しし、人が担う部分とAIに任せる部分の線を引いたうえで実装に移ります。自律型AIエージェントを活用して設計から実装までを自分の手で行うので、現場の反応を見ながら短いサイクルで作り直せるんです。

最終的にご担当者自身が改修できる形にしてお渡しすること。それを仕事の終着点に置いています。

目次

FDEの思想を全職種へ AXを「量産できる仕組み」を顧客の中に築く

──御社の事業概要と、AI・FDE領域のサービス内容について教えてください。

根耒氏:FDX株式会社は、2013年創業のアローサル・テクノロジーを前身に、2026年6月に社名を変更した、AX(AI Transformation)の実装パートナーです。

PalantirやOpenAIが体系化したForward Deployed Engineer(FDE)の思想を、エンジニア職に閉じず全職種へ拡張したのが特徴です。研修のTraining、伴走のExpert、業務再設計のBPR、AI×人代行のBPOという4つのモードで、AXを社内で量産できる仕組み「AX Factory」をお客様の中に構築しています。

「勢いだけの若造」を正面から認めてくれた二人の代表

FDX株式会社 根耒 京平様

──御社に参画された決め手は何だったのでしょうか。

根耒氏:2014年当時の私は、社会の右も左も分からない、勢いだけの若造でした。その自分を正面から認めてくれたのが、現在も代表を務める佐藤と久保田の二人です。

創業から間もない会社の立ち上げに関われることにも惹かれました。茨の道だとは思いましたが、若いうちこそ挑戦だと考えていましたし、ここでなら様々な経験ができると感じたことが決め手です。

実際にその後は新規立ち上げの案件が中心で、デザインからPM、部署の責任者、そして現在のFDEまで、当初想像していた以上に幅のある経験を積ませてもらいました。12年経った今も、任される領域は増え続けています。

技術・業務・人の3職能を1チームに 2〜3名で顧客現場に入る

──AI・FDE領域の組織体制について教えてください。

根耒氏:全社で20名規模です(業務委託・アルバイト含む、2026年4月時点)。東京本社に加えてベトナム・バングラデシュに開発拠点を持ち、実装リソースを内部に抱えています。

FDE組織は5名で、経歴の傾向は大きく3つに分かれます。受託・事業会社で本番システムを作り切ってきたソフトウェアエンジニア、BPRやSaaS導入で業務側の設計を担ってきたコンサル出身者、そして研修・人材育成の現場を持つ育成人材です。

技術・業務・人の3職能を1チームに混ぜているのが特徴で、案件では2〜3名の小さなユニットを組んで顧客現場に入ります。

──案件では、どの工程に関わることが多いのでしょうか。

根耒氏:構想から実装、現場定着、運用移管までを一貫して支援する案件が中心です。

Assessment(業務の棚卸し)→ Design(人とAIの役割分担・KPI設計)→ Implement(実装)→ Train(育成・定着)→ Scale(横展開)の5フェーズを基本にしていて、対象業務や既存システムの状況に応じて進め方を設計します。

後半のTrainとScaleも重視していて、顧客社内で運用・改善を続けられる状態を目指しています。

6部署に半年間伴走 「担当者の頑張り」から「仕組みで回る組織」へ

FDX株式会社 根耒 京平様

──代表的なプロジェクトについて、課題と支援内容を教えてください。

根耒氏:従業員50名規模のクリエイティブ企業での、全社AX支援が代表例です。

個別のAIツール導入は進んでいたのですが、全社横断で業務に組み込む仕組み化が止まっていました。人事・管理・営業・クリエイティブといった非エンジニア部門には内製運用できる人材がいなくて、経費集計、請求、売掛消込、採用ATS、商談記録といった定型業務が属人化していたんです。

私たちは半年間、毎月のAI-OJT勉強会で6部署に伴走しました。各部署の担当者と1on1で壁打ちしながら、「マスターデータを起点に組む」「個別運用から現場運用、そして仕組み化へ」という考え方を移植していきました。

ツールを納品するのではなく、担当者自身がClaude CodeやGAS、会計SaaSの公式MCPを扱える状態まで引き上げること。それを支援のゴールに置いています。

──その成果と、クライアントの反応はいかがでしたか。

根耒氏:6部署すべてでAX目標を達成し、うち5部署はS評価以上でした。

人事の定常業務は月720分削減、クリエイティブの入稿業務は月76時間削減、デザイン制作は1案件あたり107分から61分に短縮しています。いずれも各部署の担当者が自走で実装したものです。

会計SaaSの公式MCP開発元からも、非エンジニア部門の実装水準について高い評価をいただきました。

担当者の頑張りに依存した運用から、仕組みで回る組織へ変化が見られた。その点を大きな成果と捉えています。

「Leave Capability Behind」 顧客に力を残すことを行動原則に

──比較検討される企業と、その中での御社の強みについてお聞かせください。

根耒氏:総合コンサルティング会社やSIer、AI開発会社、生成AI研修会社などと比較されます。

FDXの強みは、教育・業務再設計・実装・運用を一体で捉え、同じチームが現場定着までつなぐ点にあります。行動原則に「Leave Capability Behind(顧客に力を残す)」を掲げていて、顧客が自ら運用・改善できる人材と仕組みを残すことを重視しています。

価値を測る際も、利用率・業務適用率・削減時間・品質・売上貢献など、業務の変化を示す成果指標を用いています。

──カルチャーや評価で大切にしている考え方についても教えてください。

根耒氏:5つの行動原則を、採用・評価・案件判断の基準に置いています。

会議室の仮説だけで判断しない「現場から始める」。提案やPoCで終わらせない「実装までやり切る」。依存を作らず力を残す「顧客に力を残す」。AIによる単純な人の置き換えを目的とせず、役割や能力を進化させる「人の可能性を広げる」。そして、実施回数や納品物ではなく成果で価値を示す「成果で証明する」。

評価もこの原則に紐づいていて、何をやったかではなく、顧客の業務がどれだけ変わったかを見ます。動くものを早く出して現場の反応で判断する、という進め方を良しとする文化です。

「作って終わり」では得られない、成果に責任を持つ経験

──御社で身につくスキルや経験について教えてください。

根耒氏:エンタープライズの業務現場に入り、課題を定義し、AIで実装し、定着まで見届ける。この一連のサイクルを、案件単位で何度も回せます。

LLMを使った業務アプリ開発やエージェント設計といった技術面はもちろん、業務ヒアリング、As Is/To Beの整理、AI担当と人担当の境界線設計、KPI設計、そして現場の非エンジニアに技術を移植する育成スキルまで身につきます。

金融・製造・物流・小売・商社と業界横断で入るので、業務ドメインの引き出しが短期間で増えるのも特徴ですね。「作って終わり」では得られない、成果に責任を持つ経験が積めます。

──入社後のキャリアパスはどのように描けるのでしょうか。

根耒氏:方向性として、大きく3つを想定しています。

1つ目は、FDEとして担当領域や難易度を広げ、複数案件を支えるリードFDEを目指す道です。

2つ目は、AIエージェント設計やデータ基盤などの専門性を深める道。将来的にはCAIOとして経営層のAI活用を支援する方向も考えています。

3つ目は、案件で得た知見をプロダクトや研修に展開する道です。FDX ToolsやFDX Trainingの開発を通じて、個別案件の成果を他社でも活かせる形にしていく役割になります。

技術と業務の往復を面倒くさがらず、自分が作ったものを手放せる人

FDX株式会社 根耒 京平様

──活躍しているメンバーには、どのような共通点がありますか。

根耒氏:共通しているのは、技術と業務のあいだを行き来することを面倒くさがらない人ですね。

顧客の現場に座って業務の観察から始め、違和感を見つけたらその場で仮説を立て、早い段階で動くプロトタイプを持っていく。この往復を楽しめる人が伸びています。

もう一つは、自分が作ったものを手放せること。属人的に握り続けるのではなく、現場の担当者が自分で改造できるところまで噛み砕いて渡せる人が、結果的に大きな成果を出しています。

技術力の絶対値より、相手の仕事を理解しようとする姿勢の方が効いている印象です。

──採用において、どのような方に来てほしいとお考えですか。

根耒氏:「現場に入り、観察し、仮説を立て、コードで検証する」というサイクルを楽しめる方です。

具体的には、ソフトウェアエンジニアとしての実務経験5年以上、顧客折衝や要件定義の経験、そしてLLM・生成AIを使った業務アプリの実装経験。実装経験は個人プロジェクトでも構いません。

加えて、TypeScript・Python・Goのいずれかで本番システムを作った経験や、BPR・業務再設計・SaaS導入のリード経験、スタートアップでの0→1経験があると、より早く立ち上がれます。

技術で閉じず、事業成果まで見たい方に来てほしいです。

──経験が浅い方や、異分野からの挑戦は可能でしょうか。

根耒氏:FDE職では、ソフトウェアエンジニアとして5年以上の実務経験と、顧客折衝・要件定義などの経験を基本としています。

一方で、AI領域での長い職歴を求めているわけではありません。個人プロジェクトでの生成AIアプリ実装経験も対象です。これまでに培った業務知識や開発経験を、AIの現場実装に活かしていただきたいと考えています。

また、経験や強みに応じて、プリセールスやBizDevなどFDE以外のポジションもご相談いただけます。各職種の募集要件をご確認ください。

個人の効率化から、会社全体で改善し続ける段階へ

──今後強化したい領域や、組織の展望についてお聞かせください。

根耒氏:今後は、社内データ統合の基盤づくりを強化したいと考えています。部署ごとに分散したデータや業務知識をつなぎ、複数部門でAIを活用できる基盤です。

個人の効率化から、会社全体で業務を改善し続ける段階への移行。それを支えられるチームを厚くしたいですね。

あわせて、案件で得た知見をFDX ToolsやFDX Trainingのカリキュラムに反映し、他社でも再現できる形に整えていきます。累計受講者3万名・導入企業150社超の支援で得た知見を、実装力とともに届ける体制を目指しています。

提言書ではなく、現場で動くAIと、お客様の中に残る実装力を

──最後に、この記事を読まれる候補者の方へメッセージをお願いします。

根耒氏:AIで何かを作れる人は、この数年で一気に増えました。それでも多くの企業でAXが止まっているのは、作る力と、現場で使われ続ける状態まで持っていく力が別物だからです。

FDEは、その一番難しくて一番面白い部分を担う仕事です。顧客の業務に踏み込み、時には泥臭くヒアリングを重ね、動くもので信頼を勝ち取る。提言書ではなく、現場で動くAIと、お客様の中に残る実装力を届ける。

そういう手触りのある仕事に価値を感じる方と、ぜひ一度カジュアルにお話ししたいです。

──ありがとうございました。FDEやAIコンサルタントとしてのキャリアに関心をお持ちの方は、FDX株式会社までお問い合わせください。

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